情報の定義

 情報システムで利用される情報は、その存在形態により「データ」「情報」「ナレッジ」「インテリジェンス」と区別できます。

データ

 人が利用できるものだが、なんらかの目的を達成するようにはなっていない状態。数字の羅列。未加工の事実。

これ以前の状態も存在します。それがKKD「感」「経験」「度胸」と呼ばれる経営状態です。ただ、IT業界にいながらも、このKKDを私は全否定しません。人間の感度、精度というものは時として素晴らしい才能を秘め、遙かに機械を凌駕する部分があるからです。

とはいうものの経営者たるべきものは「数字」でものを言わなければなりませんし、日々の経営に関してはなるべく数値化しておくべきだと考えます。

この「データ」段階では、傾向や法則性を知ることはできません。レジで入力したデータの数字の羅列を見ているようなものです。

情報

 上記のデータに対して、計算処理や解析を加えた物です。つまり特定の目的を達成するのに役立つ形式に変換された物です。本日の売上集計。商品別売上げ。月別、得意先別売上げ。在庫商品のABC分析などなど。

こういった数字は、「販売管理システム」「在庫管理システム」などで出すことが出来ます。

もちろん、商品やサービスの種類、顧客の数によっては「手計算」「エクセル」などで出すことも出来ます。ですが、もうちょっと種類や数が増えればパッケージソフトでその目的を達成することができます。

OBCなどの出している商奉行・蔵奉行など。あるいは、電気店に売っている販売管理ソフトでも結構いい物があったりします。あるいは、J-SaaSなども検討対象にいれてもよいでしょう。もうちょっと進んだ企業でパッケージソフトでは問題が在るという場合には、システム開発を外部に委託することになります。

なにはともあれこの「情報」にすることが、システム化・IT化の第一歩です。

基本として抑えるべき情報は「いつ(売上日)」「誰に(得意先)」「何を(商品)」「いくらで(単価)」「どの位(数量)」の5情報です。もちろん、そのほかにも「どの広告から?」などマーケティング分析に必須な情報を加えていくこともお勧めいたします。

ナレッジ

 ナレッジ(知識)は、上記の情報がどんどんたまった結果導き出される「抽象的な法則」です。

たとえば、コンビニのおでん販売などがあります。一番売れるのは、「前日の気温より、5度くらい体感温度が下がった時」などです。おでんが最も売れる時期は、冷え込む1~2月ではない おでんが一番売れるのはいつ?

あるいは、有名な話ですが、おむつとビールなどもあります。

つまり、データを膨大にため込み、そのデータの傾向分析をすることにより「ナレッジ(知識)」になっていくのです。情報処理用語としては「データマイニング」と呼ばれています。

インテリジェンス

 最後は、インテリジェンス(知能)です。ビジネスインテリジェンスとも呼ばれるものです。経営者から社員までが必要なデータを自分で分析し、意思決定する概念です。ビジネスインテリジェンスとは何かなどの記事も参考になります。

価値ある情報を発見して分析し、次に取るべき行動を迅速に予測すること。これが知能です。

SFでは有りませんが、そこまでをコンピューターにやらせようとするのが「AI(人工知能)」なのかもしれません。


情報システムとは

 情報システムとは、上記のような・・・特に「データ」の発生(入力)~「情報」までの加工を迅速に行い(出力)、ナレッジ(知識)のもととするものです。 情報処理は基本的に「入力」「処理」「出力」の3フェーズにわかれます。

「入力」に該当するのは、日々の経営活動から導き出される「数値」です。あるいは「標準化」された「ビジネスプロセス」も同じように考えられます。

この「入力」に該当する部分がしっかりしていなければ、「データ」「情報」「ナレッジ」「インテリジェンス」にもならないし、思い切ったマーケティング展開もできません。ですので、「数値化」「標準化」が重要になるわけです。

入力がきちんと出ていると「デジタルデータ」として蓄積できます。この蓄積された「デジタルデータ」こそが宝の源泉とも言えます。この「デジタルデータ」を(言い方はわるいのですが)こねくり回して「情報」「ナレッジ」に変えていくわけです。

数値化ができると、自社内でも他社とも「比較」ができます。「比較」ができるからこそ「改善」し、「向上」し、「目標」を達成することができるわけです。