アプローチ
中小企業が、情報化・IT活用経営を考える際に、最初に考えるのは、機器の導入やシステムの導入、WEBサイト作成などではありません。では、なにからすればよいのでしょうか・・・・

アプローチはこうする・・・の結論

企業を情報化する目的は、企業の「体質強化」に他ならないことを理解することから始めます。

何を当然なことを・・・と思われるかもしれないが、実際はできていない企業が多いので記載してます。目先のIT機器導入や、WEBサイト構築をしたとしても、それによって「どのような効果」を目指しているのか「結果の数値管理」ができていない企業が多いのです。

企業のIT導入・情報化は、すべて経営管理や業務遂行の仕組みを強化する点にあります。

もうすこし、細分化すると、
1.人・組織の教育に役立たせる
2.組織の運営効率を高める。業務の効率化を行なう。製品・サービス力を強化する
3.顧客満足度を高め、新規顧客を獲得し、既存顧客とのつながりを強化する。永続的にする。
4.売上、利益の向上、利益率の向上、費用の低減
と分類できます。

ですので、情報化は「他社がやっているから」とか、「薦められたから」とか、「良さそうだから」とかで行なうのではなく、必ずなんらかの「経営課題」を解決するための導入すべきものです。

例えばWEBサイトを作成することですが、多くの企業では「新規顧客の開拓」「既存顧客へのサービス向上」という目的をあげます。

ここまでは間違っていません。

では「どの程度役立っているか」を「数値」で追いかけ、「改善」をしているか?という点で聞いてみると、ほとんど何もしていません。もちろん新しい情報を定期的に掲載しているところもありますが、「それが本当に役立っているか」を見てはいません。

WEBサイトで言えば、PV(みる人)が伸びているか?滞在時間が延びているか?既存客がリピートしているかなどを分析して、それぞれに対応していく必要があります。(別のところで記載していますが、見栄えが良いだけのWEBサイトでアクセスがないなら、それは無駄な投資です)

情報システムも同様です。
例えば「販売管理システム」を入れたとします。
それによって、どの程度業務を効率化させたのか、数値では計っていません。
また、「販売管理システム」を活用することによって、顧客のリピート購買間隔が小さくなった、一回あたりの販売額や、利益率が増えた、顧客への接触回数が1.7倍になった・・・・という観点で見ていないのです。

結果として「情報化投資が役立ったかどうかわからない」とぼやくことになります。これはわからないのではなく、わかるための指標設定が先におこなわれていなかったからに他なりません。

ですから、情報化・IT化・WEB活用などを考える場合は、経営課題上の目的と指標をきちんと決めておく必要があります。

中小企業の情報化が進まない、成功した状態にならない理由

経営者の理解、態度、リーダシップが不足している

中小企業で情報化、IT活用がうまくいかない理由の第1番目は「経営者」にあります。
◎ 重要性の認識不足 ◎ 活用方法の理解不足 ◎ わからないからと言って担当者まかせ ◎ 業者のいいなり(言いくるめられる) ◎ e.t.c

本来であれば、重要性を認識した上で、経営課題解決のための指標を示し、計画的に情報化を強力に推し進めるリーダーシップ力が絶対に必要です。

ですが、私は、中小企業経営者を責めるつもりは毛頭ありません。

中小企業経営者の場合、特に小企業の場合ですが、1人で何役もこなさなければなりません。代表であり、人事であり、総務であり、現場責任者であり、経理であり・・・・日々、事業を継続させるために実業に専念しなければならない環境にある経営者がほとんどです。

その経営者に、あらためて数十時間もの時間をかけて、情報化の重要性認識や、情報システムの細かいところまで学習する時間を取ってくれとは言えません。

解決方法は「中小企業振興公社」や「産業振興センター」「商工会議所」などの「専門家派遣」制度を活用することが1番ではないかと思います。経済産業省の推進資格で「ITコーディネータ」の資格を持った「経営とIT」を結びつける専門家がいます。その「ITコーディネータ」を活用して、自社の経営課題と情報化での解決策を探すのが最初の一歩だと思います。

ただし、ITコーディーネータは資格所有者も多いのですが、その多くは情報系企業や、大企業の情報システム関連部門にいた人も多いので、かなりの割合の人が中小企業の実態に精通していないという課題があることも確かです。

ですので、ITコーディネータを探すときは、せめて「中小企業家同友会」に数年在籍したとか、中小企業のサポートで実績のある人を選択することをお薦めします。(私のように支部長経験者とか・・・(笑))

※ 同友会とは http://www.doyu.jp/org/wakaru/

※ ITコーディネータとは https://www.itc.or.jp/management/

業務の標準化ができていない

業務の標準化は、情報化・IT活用・情報活用をしていく以前に絶対に必要なことです。
顧客データで登録する事項、登録方法、名称、住所記載方法、電話番号記載方法などからはじまり。

伝票データ・・・
商品名の決め方・ルール・名称の統一、規格の記載方法、商品コードのルール、紙の伝票、見積書の作成から廃棄または受注の流れ、倉庫内作業、在庫管理方法・・・・などなど。

基本となるデータの整備、ファイルのネーミングルール、保管ルール、更新ルール、報告・連絡・相談のながれ、日報の書き方、掲示板の活用、営業社員の直行直帰、カレンダーの活用・記載ルール・・・

会社をとりまく「ありとあらゆる業務」がありますが、これらの標準化やルール付けが必要です。

ただし、中小企業の場合は荒療治で、明確な目的を持って情報システムを導入することで、関連するすべての業務を「強制的に標準化」するという方法もあります。

情報化の人材不足、教育不足

この課題も、毎年、中小企業白書に載ってます。
うちには人材がいないから・・・

でも、人材は待っていてもたぶん来てくれません。
だんだん、人手不足が進む今後の環境を考えると、「人材を毎年計画的に教育する」必要があります。

教育・指導するひとがいないと?

では、制度を変えましょう。
最初は資格取得に報奨金をだしてはいかがでしょうか?

日商簿記3級、文章作成、表作成などの日商PC検定、情報セキュリティアドミニストレータなどのIPAの試験など、公的な試験がたくさんあります。数年かけてもよいので、社員に資格を取得してもらうところからはじめてもよいと思います。

また、先ほどでてきた「業務の整理」をまかせてもよいかと思います。
商品コードのルール、取引先コードのルール、分類・・・・WEBサイトの更新とかもありですし、分析もありです。

こういった、人材育成も是非やっていただきたいと思います。

中小企業の情報化アプローチまとめ

※ 情報化をする必要性・重要性に気がつくこと。
※ 専門家を上手に活用すること
※ 業務の標準化を少しずつでも進めること。
※ 数年かけて、情報化人材を育成すること。

もし、ご相談事項がおありでしたら、当社お問合せフォームまで、お気軽にご連絡ください。専門家派遣制度などについてもご回答いたします。